Du Pain et des Idées

フランスを訪れて食したいものひとつに「美味しいパン」と答える人は多いだろう。

フランス人の主食であるパンは、毎日の食卓に欠かせない食材である。グルメ王国フランスでは、毎年ミシュランガイドの発刊や食に纏わるコンクールが催され、食いしん坊はその評価を見てはパリを走り回るのである。パンのカテゴリーに於いては、その年々「最も美味しいバゲット賞」や「最も優秀なブーランジェリー」を決めたりするコンクールがある。今年、2012年、Pudloという食のガイドブックで高評価を受けたブランジェリーが、パリ10区に存在する。

その名はDu Pain et des Idees(「アイディアが有り、パンが在る」直訳するとこういう感じか。)だ。

名前からして普通のブーランジェリーではない感じが漂う。

ここDu Pain et des Ideesは、伝統的な製法とビオと新鮮な素材にとことんこだわりを見せている頑固で真面目なブーランジェリーである。歴史や伝統が好きな私にとって、試さない手はないので足早に店へとなだれ込んだ。

内外装はパン作りと同様、クラッシックで完璧である。以前も書いたパティスリーSebastian Gaudard同様のセンスを感じた。どこか懐かしいノスタルジックな感覚。最近ではレストラン、ブーランジェリー、パティスリーなどは、やたらコンテンポラリーでプラスティックのような内装のところが多く、電気も煌々しい。しかし、ここは歴史を感じさせ、買う者に忘れかけている時代の流れの大切さやまでも語りかけるのだ。こういったタイプのこだわりを持った職人はパン以外のところに於いても興味を抱き、日々学ぶ事を忘れず、それらが商品、店舗の内装、働く方達の魅力となって、我々を愉しませるのである。

少しパンについても触れておかなくては。

扉を開け中へ入ると、焼けた香ばしい香りとやや酸味のある香りが一緒になって脳裏を刺激してくる。目の前には、電球の暖かな色が陳列されたパンへといっぱいに注がれているのと、美しい店の女性の笑顔。心躍る時間の到来である。お目当てのパンよりもパンの並んでいる陶器が美しいとか、他の色々が気になってパンどころではない状況になってしまう。

「我此処に在らず」だったので、気を取りなおして再度パンに視線を動かす。どれを試そうか、吟味の時間も面白い。珍しいものは何もなく、他のブーランジェリーにもあるものがラインナップなのだが、そのひとつひとつがとても丁寧に作られているのが一目瞭然である。

エスカルゴシリーズから、ショコラピスターシュ。


続いてクリームの小さなパイ。香り豊かなクリームとサクサクのパイ生地のハーモニー。

林檎のパイ。フレッシュな林檎の香りがまるでパルファムのように広がる。

チーズとベーコンのプチパン。蜂蜜と林檎のプチパン。

それから外してはいけないパンデザミ。木の実のような香ばしさ、中のしっとりした生地。これは他に食べれない味。

購入時に入れてくれる紙の袋にまでこだわりを感じる。色調が美しく、エレガントで良い。


気持ち良く買い物したあとは、外のテラスで焼きたてのパンを食すのも良し、となりのサンマルタン運河のほとりで食してもいいだろう。

ちなみにウィンドウには可愛い昔の菓子箱が飾られていて、それも非常に可愛い。

Du Pain et des Idées」への4件のフィードバック

  1. ピスターシュのエスカルゴ美味しいですよね〜
    ここのお菓子缶のコレクションは凄いと思う。LUの籐を模したバスケット型のブリキ缶が欲しいんだけどお菓子の缶としてはべらぼうに高いから静観中です。

    • こういう複雑な味が口の中に広がるとは正直言って思っていませんでした。なんでしょう。この満足感。
      御菓子のヴィンテージボックスは高いですね!多分デザインとか印刷技術とか、高くなる様々な要素があるのでしょうね。その道のプロではないので分かりませんが、確かに魅力的なものだということだけは素人でも理解できるくらい魅了されますね。

  2. 素敵なホームページですね!
    行く前からパリに旅行した気分になりました(笑)
    パンがとても美味しそう!

    • ご覧頂き有難うございます。ご旅行のご参考になれば嬉しいです。
      短く限られた滞在でも、視点を変えて有意義な時間をプランできたらいいですね。
      お気をつけてご旅行ください。

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